X'masの奇跡
「優斗っ」



莉菜の呼び掛けに 返事も振り向きもせずに
すたすたと歩いて行く、優斗。




「ねぇっ、待ってよ、

優斗!」





優斗は立ち止まり、
静かに振り返り、黙ったまま 莉菜を見つめた。



莉菜は、優斗のただならぬ様子を察知しながら
ちょっと申し訳なさそうに優斗を見つめて
歩み寄る。

そして、立ち止まり、そっと尋ねた。





「なに‥、怒ってんのよ…」


「わかってるだろ」


「日にちの こと?」


「…」




「わたしが勝手に言ったから?

そんなこと、今はじまったことじゃないじゃない。

わたしの身勝手とか わがままとか、
優斗、びっくりしながらも 何も言わずに聞いてくれるじゃない」



「日にちの件は、別だろ」


「12月25日 って、言ったから?」






「‥、。


俺が‥、

その日だけは 大嫌いなこと、


莉菜、 知ってるだろ‥。。。」





「‥、。‥ごめん」









この日にちのことでの喧嘩は初めてで、

謝る莉菜を見るのも辛くて、

優斗は、深い溜息をついた。








少しの沈黙の後、

優斗は、静かに口を開いた。






「結婚は、恋人のときと違うんだぞ。

人生を 一緒に歩んでいくんだぞ。




俺たち…、


これから結婚しよう っていうのに、

相談無しに勝手に決めるとか、

そんな身勝手じゃ‥


‥やってけないぞ…」






「だから ごめんて‥」










「‥、


莉菜…、


わりぃ…

ちょっと、   考えさせてくれ‥」





優斗は、莉菜に背を向け 歩き出した。




「えっ‥」



思わず言葉を失う、莉菜。



でも、

それではいけない と、優斗の背中に言葉を投げ掛けた。




「考える って?

結婚のことっ??」





優斗は すぐさま立ち止まり、



「バカ…。

日にちだよ」




と、
焦って告げて行った。
























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