眠り姫に恋したのは年下御曹司
「…………の、莉乃。」


「へっ?」


違う事を考えていた私から変な言葉が吐き出されてしまった。


振り返って陽平の方を見れば、じっと見られている。



「陽平、何?」


「今日、アイツと何かあった?」


「何も。」



視線を外した。


動揺を悟られないように手を動かす。



「もうすぐ出来るから。」


「ヨリ戻したいとか?」


「そんな訳ないでしょ。」


「向こうも?」


「うん、ちゃんと終わってるから。」



なるべく明るく振る舞った。


その方が悟られないだろう。


料理をテーブルに並べて陽平と食べる。



「美味しい、莉乃。」


「ありがとう。」



いつもの陽平だ。


大樹の話は終わりだろうと思っていた。



「莉乃、一緒に入ろ。」


「ウチは狭いよ。」


「なら引っ越して来れば?2人でも暮らせるし。」


「陽平こそ、実家の方が近いでしょ。」


何気なく言ったつもりが…………。
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