眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平が洗い物をする私を抱きしめてきた。


驚きに水が掛かりそうになる。



「ちょっと陽平。」


「莉乃、一緒に実家の近くに住まない?」


「はっ?」


「俺、言ったよね?結婚したいって。」



陽平が私の耳元で囁き始めた。


洗い物をしていた手が止まる。



「誰にも渡さないから。」


「陽平?」


「金曜は迎えに行く。店は連絡して。」



耳にキスを落とされて体がびくりと揺れる。



「莉乃、ちゃんと入ってきて。」


「…………狭いって。」


「いいから。莉乃、逃げるなよ。」



やっと陽平が離れていく。


陽平は簡単に『結婚』というキーワードを口にするが本気なのか。


簡単に陽平は口にしているように思える。


好きでいてくれてる実感はある。


でも裏切らないとは限らない。


大樹のように…………。


永遠の恋なんて存在するのだろうか。


大樹と再会した私に不安が押し寄せ始めていた。
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