眠り姫に恋したのは年下御曹司
腕を陽平に掴まれて引き寄せられる。


バランスを崩した私は陽平の胸に倒れこんだ。



「ちょっと。」


「オーケーするまで帰さない。」


「はっ?陽平はモテそうだし、彼女が欲しいなら別の…………。」


「あのさ、誰でもいい訳ないでしょ。俺は莉乃と付き合いたいんだ。」


「…………何で私?」


「莉乃だから。」


「…………。」


「莉乃だから付き合いたい。」



私だから?


理由はないの?


陽平を見上げれば、目と目がお互いの心理を読み取ろうとしているのが分かる。



「お試しでいい。俺と付き合って。」


「お試し?」


「お試しでいい。」



まったく退こうとしない陽平をじっと見つめる。


急に縋るような目をしてくる陽平に大きな溜め息を吐いた。


絶対に私が折れないとダメなパターンに思えてきた。



「莉乃。」


「…………。」


「お願い。」


「わかった。」



とうとう折れた。
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