眠り姫に恋したのは年下御曹司
山中が申し訳なさそうな顔を見せた。


そんな彼に私は笑って見せた。



「教育担当なんだから、山中くんは気なんて遣わなくていいから。」


「でも………片桐さん、朝から大きな溜め息を吐いてます。」


「違うの。親が煩くて。」


「親が？」


「もう………分かってよ。私も歳だって事よ。」


「ああ。」



それで納得されると…………やっぱり親の言葉も一理あるのだと実感してしまう。


最近、親からは結婚の話を耳にタコが出来そうなぐらいに聞かされる。


『お見合いもセッティングするから、いつ実家には帰ってこれるの』


母親から電話がある。


別に焦らなくてもと言い返せる歳でもなくなってきたのは私でも分かっている。



「片桐さん、綺麗なんですけどね。」


「………ありがとう。」



山中の言葉は


『綺麗だけど彼氏いないんですね』


と解釈できる。


痛いところを突かれると虚しくなる。
< 4 / 198 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop