眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平達のやり取りをじっと聞いていた。


だって私が口挟む事でもない。



「どちらにせよ、陽平が彼女を紹介してくれる日が来たのは嬉しいからな。」


「そうね。」


「全然紹介しようとしてくれなかったから、陽平は。」


「そうよね。」



目の前に座る両親の話に耳を傾ける。


きっと過去に彼女はいただろう。


偶々、酔潰れるような女じゃなくて連れてくる機会がなかったのかもしれない。


その点、私は初めて飲みに誘われて寝落ちしてしまった。


仕方なく、家に連れてきて親に紹介されただけかもしれない。



「莉乃さん、これからも陽平を宜しく頼みますよ。」


「はい。」



取り敢えずは頷いておこう。


陽平が気まぐれで紹介したにせよ、これからも顔を合わせる機会があるかもしれないから。


その日、夕食を家族と戴き、夜遅くに陽平に送ってもらった。


陽平の住むマンションは私の家から徒歩5分と聞いて驚いたのは言うまでもない。
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