眠り姫に恋したのは年下御曹司
「クスッ。」


「…………。」


「いつも眠ってるね。」



隣から聞こえてきた笑い声。


陽平が笑っている。



「陽平は眠らないね?」


「まあね。」



閉じていた目を開けて陽平を見る。


ニヤリと企んでいる時の顔をしている。



「陽平、何?」


「ん?俺の癒し。」


「…………。」



癒し?


電車に腰掛ける私達の肩が密着する。



「いつもは遠慮して、莉乃にはくっ付けなかったから。」


「まあ、くっ付いたら変な人だね。」


「でしょ。そこは常識的に無理だったから。これからは遠慮しなくていいよね?」


「いいよ。私も温かいし。」


「俺も。冬っていい。」


「そう?夏は嫌なの?」


「夏もいい。莉乃と一緒なら。」



本当に甘い。


久し振りに訪れた彼氏は甘い男だ。


今までの彼氏にはいないタイプの男だ。
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