葵くん、そんなにドキドキさせないで。
大野くんの腕が、私の首にまわっている。
コツンとおでこをくっつけてそのまま動こうとしない。
「汗くさいかもしれないけど、許して?」
「そういう問題じゃなのっ」
体育館にはまだ人がいるんだよ?
こんなの見られたら……。
「え?ねぇ、あれ見て」
「涼平と……えっ、あれって葵くんの彼女だよね!?」
だんだんと視線が集まってきているのを感じる。
こ、これは非常にまずい……っ。
大野くんから離れようと身をよじると、クスクス笑う声が耳元で聞こえた。
「いいの?三河のこと、今ここでバラしちゃうよ」
それが嫌だったら大人しくしてな。
そう続けられたら、悔しいけど何にも出来なくなる。
……もうっ、どうしてこんなことするの……。