葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「大丈夫。とって食おうだなんて思ってないからさ」
ね?なんて笑顔で言われても説得力がないよ、大野くん。
こんなところ、葵くんに見られたら……って考えるだけで背筋が凍る。
女の子たちの反感だって買いたくないのに。
「そろそろ、かな」
「え……」
大野くんの呟きに眉をひそめた時、いきなりグイッと誰かに肩を引き寄せられた。
ふわりと香る石けんの匂い。
「……何してるの?」
この低い声。
振り向かなくてもわかる。
ていうか、今は振り向きたくないな……っ!
「んー、別に?華子ちゃんが熱っぽいっていうから測ってみてただけ」