葵くん、そんなにドキドキさせないで。
『葵くんってさ、なんか見た目と違うよね』
『もっと王子様みたいな人だと思ってたんだけどなぁ』
そんな人、初めてだったから。
だから、田中さんの隣は、心地いい。
……それだけ。
田中さんに対する気持ちなんて、それだけのはずなんだ。
「葵くん?」
中から聞こえた声に、少しホッとする。
「開けていい?」
「だっ、ダメ……!」
……いや、何でだよ。
こっちには聞きたいことがたくさんあるわけ。
これでも怒ってるわけ。
「えっ、ちょっ!?」
田中さんの声を無視してシャっとカーテンを開けた。
その瞬間バッと布団で顔を隠す。
それにちょっとムッとする。
「なに、その態度」