葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「逃げんなっつたのに、田中さん俺のこと避けるからさー」
「ひっ」
笑顔を浮かべたまま、葵くんがゆっくりと私に近づいてくるから
必然的に私も後ろに下がることになるわけで。
もうっ、どうして近づいてくるのかなっ!
「…」
あわあわとしていると、ふいに葵くんは眉を下げて困り顔をする
シュン、という効果音がピッタリな、そんな顔
「田中さんに、協力してほしいんだ」
「……え…?」
「田中さんにしか、頼れない」
人1人分あけて立ち止まった葵くん
私の後ろにはもう教室の壁しかない
「協力って…」
もしかして何か深い事情でもあるの…?
それは私にも出来ること?って、小さく聞くと、
葵くんはコクリと頷く。