リボンと王子様
一緒に外を歩きたい気分だったので、車で行こうか、という千歳さんの誘いを断った。
マンションを出た瞬間のムゥッとした風に、一瞬険しい表情をした千歳さんがおかしかった。
少しでも気分が明るくなるように、私は真っ白なフレンチノースリーブのワンピースを選んだ。
腰から下がフレアースカートになっていて、裾には小さな花の縁取りがある。
合わせてベージュのウェッジソールのサンダルを履いた。
「そういう恰好、初めて見たけど……よく似合っている」
私の姿に嬉しそうに目を細める千歳さん。
凝視されて、居心地が悪くなる。
「ほ、ほら、行こう」
恥ずかしくなってグイグイ手をひく私を千歳さんはいつまでもクスクス笑っていた。
電車に乗って、梅田に出た。
相変わらずの人混みに圧倒されながらも、目的のお店に着く。
明るいベージュの壁に濃紺のテントが広がるテラス席。
お店の周囲にはぐるっと観葉植物の鉢が置いてあって涼しげな印象を醸し出す。
開け放たれた窓と高い天井からは開放的な雰囲気が漂う。
土曜日のお昼前ということもあり、店内は混雑していた。
「……うわ、混んでるな」
千歳さんが声を出した時。
「お兄ちゃん?」
背後から声がした。
マンションを出た瞬間のムゥッとした風に、一瞬険しい表情をした千歳さんがおかしかった。
少しでも気分が明るくなるように、私は真っ白なフレンチノースリーブのワンピースを選んだ。
腰から下がフレアースカートになっていて、裾には小さな花の縁取りがある。
合わせてベージュのウェッジソールのサンダルを履いた。
「そういう恰好、初めて見たけど……よく似合っている」
私の姿に嬉しそうに目を細める千歳さん。
凝視されて、居心地が悪くなる。
「ほ、ほら、行こう」
恥ずかしくなってグイグイ手をひく私を千歳さんはいつまでもクスクス笑っていた。
電車に乗って、梅田に出た。
相変わらずの人混みに圧倒されながらも、目的のお店に着く。
明るいベージュの壁に濃紺のテントが広がるテラス席。
お店の周囲にはぐるっと観葉植物の鉢が置いてあって涼しげな印象を醸し出す。
開け放たれた窓と高い天井からは開放的な雰囲気が漂う。
土曜日のお昼前ということもあり、店内は混雑していた。
「……うわ、混んでるな」
千歳さんが声を出した時。
「お兄ちゃん?」
背後から声がした。