リボンと王子様
「……理由は今日わかった」


頬を強くはたかれた気がした。

足がガクガクして崩れ落ちそうになる。


「……母さんに頼まれてたんだね、俺の見合いのために。
穂花はそれを引き受けてた……俺と付き合っていたにもかかわらず」


今までに聞いたことのない、氷のように冷たい声だった。


顔を上げた千歳さんは私の両肩をグッと強く掴んだ。

端整な顔に浮かぶのは悲しみに似た苛立ち……憎しみ……。

漆黒の瞳には静かな怒りと哀しみの色が見えた。


「ねえ、穂花。
どんな気持ちだった?
他の女性のために俺と付き合う気持ちは」

「ちがっ、違う!
他の人のために……そんな気持ちで千歳さんと付き合ったりしていない!」


弾かれたように必死に声を上げる私を。

刃物のように鋭利な声が遮った。


「今更そんなことを信じられると思う?
穂花は四年前の相手が俺だって、俺より先に気付いていたんじゃないの?」

「それは……!
……確信はもっていなかったよ、そうかもしれないって思うことはあったけど……」


力なく答える私を嘲るように千歳さんは続けた。


「……だろうね。
他には?
何を隠してる?
俺と再会したのも計算?
……四年前のあの日のことも」
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