意地悪な集団
「は?何言っちゃってんの?もうマジやべー。朱莉、早く着替えて鎌田になんか言っちゃわない?」
「そうだねー」
もちろんこれは、嘘。
本気でやりたいけど、そんなこと言って、怒られるのは私と朱莉だというのは、お見通し。
「・・・何て言うの?」
晴香は、おそるおそる私たちに向かってそう言った。
「教えるわけねぇーじゃん!」
それに私は冷たく答えた。

「教えてよ!なんて言うの?」
晴香は本気で鎌田に言うと思っているらしい。
「はぁ・・・マジ、ここヤバイよ」
朱莉は、自分の頭を人差し指で指しながら言った。

「頭?え、髪の毛ボサボサ?」
「は?何言ってんの?とぼけんのもいい加減にし・・・」
ガチャン―
更衣室のドアの開く音がした。

「結衣と朱莉ー!はやく着替えなよー」
この声は恵里奈だった。

「あ、オッケー!」
恵里奈に返事をし、私は晴香のほうを向いて冷たく言い放った。
「ていうか、もう本気でバカのお相手してたら疲れちゃった。この後のお相手は、誰がいいかな?あ、アンタが大好きな鎌田にする?」
「好きな人、鎌田じゃないから」
「知ってるよ!和也だろ?南和也なんだろ?知ってんだよ!アンタさー、結衣のこと裏切ったんだよね。結衣が和也のこと好きなの知ってるくせに!すでに噂で流れちゃってんの!それで、どんだけ結衣が傷ついたと思ってんの?まさか全然傷ついてないとでも思ってんの?結衣は友達だから大丈夫とでも思ってるわけ?」
恵里奈が急ぎ足で階段を上ってきた。
「ど、どしたの?」

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