宮花物語
すると青蘭は、黄杏と一緒に、月夜を見上げた。

「黄杏さん。私はね、この国に人質として、来たのよ。」

「人質?王は、一人残されたあなた様を、可哀想に思って連れてきたと。」

「まあ。そんな事を、王はあなたに話しているの?」

青蘭は、怒っているのか、驚いているのかも分からない。

だが、自分の事を新しい妃に話しているのは、どことなく気にかけているようだった。

「……信寧王に会ったのは、父が殺されたと聞いて、自ら敵に向かって行った兄を、探していた時。炎が燃え盛る中、なかなか兄を見つけられなくて……」

それは信志から話を聞いていて、黄杏も知っていた。

「もう、兄も殺されてしまったのかもしれないと、途方に暮れていたの。そこへ、信寧王が現れた。」

そう話す青蘭の表情は、冷たかった。

「もちろん、捕まれば死ぬ覚悟でいたから、王の手を振り払ったのだけど、王は私がついてくるまで、ここを動かないと、炎の中、じっと待っていて……」
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