宮花物語
「今日は久しぶりに、青蘭様の甘い声が聞けたよ。」

「あの方、色気たんまりだから、王もなかなか満足しないよな。」

そう言って、イヒヒヒと下品な笑いをする。

「あーあ。今日も遅くまで、励むなぁ。」

「青蘭様の時は、いつもそうだって。一晩中灯が落ちない時だってあるよ。紅梅様の時はすぐに消えるのになぁ。」

黄杏は青蘭と信志が、一糸纏わぬ状態で目合っているのを想像するだけで、頭がおかしくなりそうだった。

「井戸……早く井戸を探さなきゃ……」

気を確かに持つ為に、さ迷うように井戸を探した。

「あそこだ。」

やっと見つけた井戸の蓋を開け、水を汲むと、一気に飲み干した。

そして、生き返ったような気がした黄杏の耳に、卑猥な声が届く。


「あぁ……いい……もっと……もっと!」

黄杏は、耳を塞いだ。

どこからこの声は、聞こえてくるのか。

辺りを見回すとそこは、他でもない青蘭の屋敷の脇だった。
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