宮花物語
黄杏は窓を閉めると、寝台へと倒れ混こんだ。

「嘘つき、嘘つき、嘘つき!」

どんなに愛していても、王は自分だけのものにならない。

なるべく早く戻ると言った信志も、戻ってきてはくれない。

「みんな、嘘つき!」

悔しくて悔しくて、泣き叫んだ黄杏は、そのまま寝入ってしまった。


どれほど経っただろう。

女人達も下がり、静かな夜だけが、黄杏を取り囲んだ。

「水、ないかしら。」

起き上がった黄杏は、隣の部屋に、水がないか探したが、この日だけは女人が用意していなかったのか、机の上になかった。

「はぁ……」

諦めようとしても、泣きじゃくったせいか、やたら喉が乾く。

「確か外に、井戸があったはず。」

黄杏は、杯を持って外に出た。

白蓮と紅梅の屋敷は、もう灯が落ちていると言うのに、青蘭の屋敷だけは、煌々と明かりが着いていた。

そこへ護衛をしていた兵士が、ニヤニヤしながら歩いてきた。
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