宮花物語
あのガサツそうな紅梅の口から、初恋の人という甘酸っぱい言葉が出てくるなんて。

黄杏は、急に紅梅の事が可愛らしく見えて、ニンマリした。

「ある日。王と武術の試合をしたの。勝ったら、お妃にして欲しいと頼んだわ。必死で攻めて、最後の最後で王に勝った。その結果、これよ。」

紅梅は、高そうなシルクの寝間着を、黄杏に見せた。


「私が欲しかったのは、こんな物じゃなかったのに。本当に欲しい物って、手に入らないのね。」

強がっていた紅梅が、ほんの少しだけ、弱い部分を見せた瞬間だった。

黄杏は、勝手に親近感を覚え、紅梅の近くにあった、大きな石に、腰を降ろした。

「紅梅さんは、王のお子が、欲しいのね。」

「王のお子も欲しいけれど、一番欲しいのは、王の愛情だけどね。」

紅梅もため息をつきながら、黄杏の隣に座った。
< 133 / 438 >

この作品をシェア

pagetop