宮花物語
その様子を見た信志は、青蘭の冷ややかな表情を、愛しそうにも、悲しそうにも見ていた。

抱かれている時も、あんなに恍惚な目で、自分を見るのに。

切ない声で、名前を呼んでくれるのに。

激しく、自分を求めてくれるのに。

事が終わると、それは全て、幻となって消えてしまう。

だから、何度も抱きたくなる。

もう一度、青蘭と愛し合っていると言う、幻にも似た夢を見る為に。


「どうしたら、君の心を、手に入れる事ができるのだろう……」

ふと聞こえてきた言葉に、青蘭は思わず振り向く。

「王?」

「君は、他の女に夢中になっていると聞いても、塵ほどにも妬いてくれない。」

青蘭が見た信志は、今にも泣きそうな顔をしている。

「それは……」

今更嫉妬しろなんて、虫が良すぎる。


「……答えぬなら、体に聞いてみようか。」

「えっ……」

信志は、青蘭の体を自分の方へ向けると、青蘭の足の付け根に、指を添わせた。
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