宮花物語
「そんな……」

青蘭は椅子の上で、ぐったりした。

「産まれていれば、王も奥様も、どれだけ喜ばれた事か……」

「黄杏様は、毎日お里から送られてきた薬草を、飲んでいらっしゃいました。黒音はその中に、流産を促す薬を入れていたのだと思います。」

「黒音が……黒音が、薬草を毎日準備していたのか。」

「はい。」


あの日、外から屋敷の中を覗いていた、黒音の笑った顔が、青蘭の頭から離れない。

私が未来の国王を産むまで、他の女に、跡継ぎが産ませてなるものか。

そんな声が、聞こえてきそうだ。


「黄杏さんに、面会はできて?」

「はい。黄杏様ももう、起き上がれるそうです。」

「そう。では、お見舞いに行って来ましょう。」

青蘭は立ち上がると、昼間、黄杏の屋敷へと立ち寄った。


「まあ、青蘭さん。」

黄杏は、黒音に看護されながら、部屋の椅子に座っていた。

青蘭は、息をゴクリと飲んだ。
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