宮花物語
「黄杏様。この上着の上に、お座りなさいませ。」

「いえ、それでは将拓殿が……」

「いいのです。女の方は、体を冷やしていけません。」

今は兄の言葉が、一番心の染みる黄杏。

「……有難うございます。」

黄杏は涙ぐみながら、将拓の上着を敷き、その上に座った。


丁度その時だった。

白蓮が広間に、姿を現した。

黄杏と将拓の姿を見て、白蓮はため息をついた。

「まさか、本当に逢引きをしているとは……」

「お待ちください!」

黄杏は体を起こして、一歩白蓮に近づいた。

「やましい事など、何一つございません!王に対して、不義など滅相もない!」

白蓮は黄杏の必死な姿を見て、またため息をつく。

「……して、そちは何者なのです?」

白蓮は将拓に、目を向けた。

「将拓と申します。南の国で、商人をしております。」

「南方の商人がなぜ、この宮中に?」

「……本日まで、宮中に出入りさせて頂いておりました。」
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