宮花物語
門の外に出たが、護衛以外誰もいない。

「護衛長、どうされましたか?」

息を切らして走ってきた護衛長に、門の外を守っていた護衛達が驚く。

「ここを……黄杏様の客人が、通らなかったか?」

「はい。お妃様の客人でしたら、つい先ほど行かれたばかりです。」

そう言って護衛は、宮中の外に出る一本道を指さした。

「有難う。」

勇俊は一本道の先を、目を凝らしながら見ると、ゆっくりと走りだした。


つい先ほどだと言うのなら、まだ間に合うはず。

勇俊は、祈るような気持ちで、将拓の姿を探した。

だが早いもので、既に宮中の出入り口まで、来てしまった。

そこにも、護衛の者が門を守っていた。

「護衛長!このような場所まで、お出ましになるとは。」

上司の突然の登場に、護衛達は揃って武器を降ろす。


「ここに黄杏様の客人は、来たか?」

「客人ですか?」

「背の高い商人だ。言葉に南方訛りがある。」
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