宮花物語
「それがどうしたのです?」

女人は、もっと桂花に近づいた。

「特に青蘭様の女人が、陰でしていた噂で、黄杏様のお子が流れたのは、黒音様が毒薬を何かに混ぜて、黄杏様に飲ませていたからだとか。」

桂花は、息が止まった。


毒薬を何かに混ぜた?

黄杏様が懐妊中、薬草を煎じて出していたのは、黒音様。

効能のある薬草を、黒音様は異常なまでに、恐れている。

答えは、桂花の中で出た気がした。


「……証拠は?」

「いえ、ないそうです。」

「そうでしょう。そのような噂は、今後口にしないように。」

「は、はい。申し訳ありません。」

女人が自分の仕事に戻った後、桂花は寝台で休んでいる黒音を、見つめた。

大人しい振りをして、恐ろしい事をなさる。

それが今回、表に出なければいいが。

桂花は、気づかれないようにため息をついた。
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