宮花物語
帰りがけ、黒音はわざと、白蓮が覗いている側を通った。

「あら、白蓮様。」

「ああ、黒音か。」

黒音付きの女人、桂花も白蓮に頭を下げた。

「このようなところで、何をなさっているのですか?」

まさか、黒音のお腹の子を気にして来たと言えない白蓮は、そのことをはっきり言葉にできない。

「少し、体調が悪くてのぉ。」

白蓮は、袖で顔を隠した。

「まあ。御身大切になさって下さい。」

黒音は、クスッと笑う。

そのまま、白蓮の横を通り過ぎようとする黒音に、白蓮は声をかけた。


「お腹のお子の、調子は如何?」

黒音は立ち止まると、チラッと白蓮を見た。

「ええ。順調ですわ。」

「そう。それはよかった。」

白蓮はそう言うと、また黒音はクスクス笑いだす。

「いくらお妃様でも、正妃様に対して無礼な!」

たまりかねて、白蓮付きの女人が、黒音にきつくあたる。

「よいのです。」

「でも……」
< 326 / 438 >

この作品をシェア

pagetop