宮花物語
白蓮がそのまま、部屋へ戻ろうとすると、医師はまた白蓮を引き留めた。

「何です?」

「明日の事なのですが……もう一つお耳に入れたい事がありまして……」

白蓮と医師は、廊下を隔てて別な部屋に、二人きりで入った。

「あの……これは、白蓮様のお心にだけ、留めて頂けますか?」

「分かりました。」

「その……黒音様のお腹の御子の事で……」

白蓮は、そっと戸を開けると、廊下に誰もいない事を確認した。


「今なら大丈夫です。仰いなさい。」

「はい。実は、黒音様のお腹の御子を触診したところ、その……」

「はっきり言いなさい。」

「は、はい!」

医師は額に、汗をかいていた。

「……御子が、手に触れないのです。」

白蓮は、息が止まった。

「あれほど大きなお腹であれば、御子の姿が触診で分かるものなのですが、全く分からないのです。」

「通常の大きさに、育っていないと言うのですか?」

「いえ。それが……」

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