宮花物語
医師は、震える声でこう答えた。

「元々……黒音様のお腹には、御子などいらっしゃらないのでは……」

「馬鹿なっ!」

医師は恐ろしくて、膝をついた。

「すみません、すみません!恐れ多い事を申しました!」

恐れおののく医師に、白蓮は尚も問いかけた。


「懐妊は、黒音の偽装だと言うのですか?そなたは、王の妃が、嘘偽りを申していると言うのですか!」

「ひぃぃ!すみません、すみません!」

「謝ってばかりでは、話は進みません。本当の事を言うのです!」

「それが、こんな事は初めてで、分からないのです!許して下さい!」

こうなっては、白蓮が何が言っても、謝るだけで終わるだろう。

「……どうすれば、分かるのです?」

医師はピタッと動きを止めると、白蓮を見上げた。


「早く仰いなさい。明日には、黒音の運命が、決まるのですよ?」

医師の体は、震えてきた。

「……黒音様自体が、妊娠は偽装だと認めれば、お体は自然に戻ってゆくと思われます。」
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