宮花物語
「あっ……」

その瞬間、黒音は白目を向き、バタッと体から力が抜けた。


「黒音?黒音!」

「黒音様!黒音様!」

信志と桂花が、黒音を揺する。

「医師よ!黒音は、どうしたのだ!」

医師は、黒音に飲ませる薬を、その場に落とした。

「黒音様!」

急いで黒音の口に、自分の耳を近づけ、手を握り脈を診たが、全く脈は触れない。

呼吸も聞こえてこない。

黒音の胸に耳を当てても、心臓の鼓動は聞こえてこなかった。


「っ……!」

「医師よ!」

信志は、医師を起こした。

「黒音様は……息を引き取られました。」

「えっ!?」

信志はあまりの事に、言葉を失った。

「黒音様!黒音様!目を開けて下さい!黒音様……」

桂花は、黒音の体に泣きすがった。

「なぜ、こんな事に……あああああああ!」


それを見た信志は、フラッと立ち上がる。

「王……」

白蓮はそんな信志に手を伸ばしたが、手を振り払われた。
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