宮花物語
「青蘭……私の元へ来て、幸せか?」

突拍子もない質問に、青蘭は振り向く。

「もしかしたらそなたには、他の嫁ぎ先もあったかもしれない。そうすれば子も産み、国を再興する事も……」

「王……」

青蘭は、信志の首元に手を回した。

「私は、王の側にお仕えできて、幸せでございます。」

「そうか?」

信志は、青蘭の額に唇を着けた。

「……もし、私に子ができれば、内乱の種となりましょう。ですから、産まない方が良いのです。」


子供が欲しいと願っても、できなかった白蓮。

子供を授かったと嘘をついて、命を落とした黒音。

子供を諦めざるを得なかった青蘭。

どれも信志には、哀れで仕方がなかった。


「青蘭……私には、どうしても分からない。どうしてそんなにも、子に拘るのか。養子を迎えても、この国は続くではないか。」

「それは皆……優れた力を持つ、王の血を引く子を、この目で見たいからなのだと思います。」

青蘭は、もっと強く信志を抱きしめた。
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