宮花物語
「そして今度は、人が変わったように、冷たくするのか。」

「冷たくなんて……」

「はははっ!嘘だよ。」

気が緩んできたのか、信志は服の胸元を、ふいに開けた。


「信志様は、嫉妬する妃は、お嫌ですか?」

「会う度に嫉妬されるのは嫌だが、たまにはいいものだ。なにせ私の妃達は、嫉妬すると言う事を知らないからな。」

フッと、黄杏は笑ってしまった。

「それは嫉妬しても、信志様がさらりと流してしまうからなのでは?」

「そうか?これでも内心、どうすればいいものか、考え込んでいるのだがな。」

黄杏は、口元を手で覆い、笑うのを必死に堪えた。


「だが黄杏は、特別だ。」

「私がですか?」

「ああ。嫉妬されると困るどころか、可愛らしいとさえ思ってしまった。どうしてだろうな。」

信志は、黄杏の髪を優しく撫でた。

「思えば、忠仁の反対を押し切ってでも、自分の妃にしたいと思ったのは、黄杏だけだった。」

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