宮花物語
「お願いです。黄杏と私は、もう離れられない程に、愛し合っています。どうか、私を信じて下さい。」

信志の言葉を聞いた黄杏は、信志の手を握った。

「どうか頭をお上げ下さい。私の為に、高貴な身分のあたなが、頭を下げる必要などございません。」

「身分が、高かろうが低かろうが、妻に迎える時には、ご両親の頭を下げるのが、礼を尽くすと言うものだ。」

「信志様……」

お互い見つめ合う信志と黄杏に、両親も折れた。

「どうやら、あなた達を引き離すのは、無理のようですね。」

「母上。」

「信志殿のお気持ちは、十分に分かりました。あなた様の家が、黄杏を迎えてもいいと言ってくださるまで、娘を待たせましょう。」

「父上!」

黄杏と信志は、手を取り合って喜んだ。

「但し、子ができる年齢までです。」

父は、一つの条件を出した。

「なぜこの村が、多宝村と呼ばれるのか。それは子に勝る宝なしと言う事を、知っているからです。」
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