宮花物語
「勘違いなさらないように。ただで、ここに住まわせる訳ではありません。」

黄杏は、正面にいる忠仁を見た。

「一日でも早く、跡継ぎを産んで頂く為の、お部屋でございます。」

「跡継ぎ……」

息を飲んだ黄杏に、忠仁は続ける。

「この寝台は、あなた様の寝る場所でもありますが、信寧王様と、夫婦の営みをして頂く場所でもあります。決して、情愛だけに溺れませぬよう、お願い申し上げます。」

「あっ……」

黄杏の肩に、急に重い荷物がのし掛かる。


「それと黄杏様。早速ですが、今夜お妃様になる為の、式が執り行われます。」

「今夜!?今日、着いたばかりなのに?」

忠仁は、ジロッと黄杏を睨む。

その目に、背中がヒヤッとする。

「……黄杏様。あなたはここに、何をしにいらしたのですか?」

「何って……妃になって、王を支える為……」

「その通りです。お遊びになっているお暇は、ございません。」
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