宮花物語
「あれは?」

黄杏は、忠仁に尋ねた。

「ああ。あれは、正后・白蓮様のお屋敷でございます。」

宮殿に着いた途端、あれだけ指図してきた忠仁は、すっかり家来みたいな、お言葉使いになっていた。

「そして、こちらの右手が、第2妃の青蘭様。こちらの左手が、紅梅様の屋敷でございます。」

自分の娘である、紅梅にでさえ、丁寧な物の言い方だ。


「さあ、着きました。こちらが黄杏様の、お屋敷でございます。」

それは、紅梅の屋敷の南隣だった。

扉が開かれ中には、贅沢な調度品がたくさん置かれていた。

「これは……」

「新しいお妃様へと、皆で集めた一級品でございます。」

奥の部屋には、これまた豪華絢爛な寝台が、置かれている。

「二つも、部屋があるのね。」

「はい。」

黄杏は、寝台に敷かれた、柔らかい布団に触った。

「凄い豪華……これから、ここで過ごしていくのね。」

黄杏は、ため息混じりに、部屋を見渡す。
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