烏丸陽佑のユウウツ
「隙あらば抱き着くとか?常態的?」
キスも…結構な回数してるらしいじゃないか。聞いたら、動揺しながらも認めてにやけるだろうから、聞かないけどな。
「…あ、常態的ではないですよ。…隙あらばというか…抑えられるギリギリの衝動です。こう見えて、…頑張って辛抱してるところはあるんです」
…は。やっぱ、危ないじゃないか。よくそこまでしといて辛抱とか…抑えられるよな…。若いのに、逆に尊敬するわ。若い頃の俺なら…。はあぁぁ。
「一緒に居たら…どうしても色々…大変でした」
…だよなぁ。…裏の部屋に梨薫ちゃんが避難して来てなかったら…きっと今頃は…成るようになってた…。かも、知れない…。
あー、いかんいかん、二人して沈黙して…同じ想像を巡らせている気がする。コイツをこれ以上にやけさせるなんて…癪にさわる…。
「…ん゙ん゙。無理やりってのは駄目だからな…」
「…はい、そこは解ってます」
「あのまま暫く一緒に寝食を共にして…一緒に居るのが当たり前になって、…部屋から居なくなったら、何だか寂しくなって…更に寂しさに堪えられなくなって…」
「え?」
「…黒埼君、これからも一緒に居て欲しいの、な〜んて、言われてたかもな〜?」
「はぁあ?…あっ。すみません…。そんなの…、そもそも部屋を提供して阻止したのは陽佑さんじゃないんですか?……例え二人の間に何も無いって言われても…梨薫さんは陽佑さんのところに泊まってたんじゃないんですか?…。他に簡単に、急に連泊させてくれるような人は居ないと思いますから…」
「…どうだか」
「あ゙ー、またそうやってしらばっくれちゃって」
俺の部屋なら、あぁそうだ、と強く肯定してやるんだが…如何せん、泊めた場所が裏の部屋ではなぁ…何の影響も無い場所だ…そこを貸したくらいの事では…黒埼君にダメージも与えられない。ただの宿泊施設と変わらない状況だったからな。
「黒埼君が知らないだけで…かも知れないじゃないか。俺達が思いもよらない、梨薫ちゃんを泊める人間が、居ないとは言い切れないだろ?」
「そうかも知れませんが…、そんな…普段から行動範囲、交友関係の広い人でもなさそうですよ?」
…ハハハ。確かに。会社に行って、日常の買い物に出掛けて、たまにここに来て。そんな生活だもんな。そうなると、交友関係も狭いって判断されるか。