艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「行かないでください……」

歩き出した駒宮室長に向かって私は思わず声をかけてしまっていた。


声をかけただけじゃない。

私は無意識に、駒宮室長のスーツの裾を掴んでしまっていたのだ。

わわわわわ。

私、なんてことしているんだ。

振り向いた駒宮室長は目を白黒させて、ものすごく驚いた表情をしている。


自分の中で収集が付かないほど気持ちが混乱してしまう。

一気に汗が噴き出してくる。


「なっ、なんか、すみません。冗談です。ははは……」

見え透いた愛想笑いを浮かべてはぐらかしてみたけれど、きっといつも私のことなんてお見通しの駒宮室長にはきっとはぐらかしてしまったことなんてバレバレだろう。

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