艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「それでは、LIVEUSのサイトリリースを記念しまして、乾杯」

会社役員の男性の威勢の良い乾杯の合図で、会場のあちこちでグラスぶつかる音が鳴り響く。

私も近くに居た萩原さんや渡部さんとグラスを重ねると、急いで駒宮室長の姿を探す。

さっきまでステージの近くに居たはずの駒宮室長の姿はもうそこにはなくて、大勢のゲストや社員の姿で、背の小さい私には探すことなんて出来そうにない。


私と駒宮室長の関係はというと、上司と部下のまま何も変わっていない。

むしろ、このリリースのために全てを費やしたといっても過言ではない私は、仕事のことばかりが頭の中を占めていた。

ここのところ毎日、残業ばかりで終電を逃したことだって両手では数えきれないくらいだ。


休日は疲れのせいで泥のように眠ってしまって、そういえば随分長い間、郁ちゃんや祥子さんのいるショップにも顔を出せていない。

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