艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「まどかちゃん、これから2人でどこか抜け出さない?」
目の前の彼が私に近づいてきて、耳元で囁く。
背中がゾワゾワして、本能的に嫌な予感がする。
「えっ、いえ。私は……」
断らなきゃ!!
そう思った時には、目の前の男性に手首を掴まれてしまう。
「いいじゃん!!金曜の夜なんだし。さっき、彼氏いないって言ってたじゃん?」
脂ぎった肌が照明のせいで光っている目の前の男性は、豪快に白い歯を見せて笑うと、思わず虫唾が走った。
とにかくこの場から離れなきゃ!!
そう思うのに、どんなに抵抗しようとしても屈強な広報部の彼に私一人の力では敵う筈がない。
私が嫌がっていることさえ気が付いてあろう彼はそんな私を無視して、手首を強く握りしめたまま、無理矢理に出口の方へ連れて歩き始める。
大声を出したいのに、こんな時に限って声なんて出すことが出来ない。