艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「ほら、差し入れ。」
駒宮室長の妙に色気のあるバリトンボイスとともに、デスクの上にゴトンという音をさせながら置かれたのはホットコーヒーの缶。
しかも、甘いコーヒーが飲めない私には有難いことに無糖のブラックコーヒーだ。
「えっ?」
驚いた私が隣に立っている駒宮室長を、見上げる。
「コーヒーはブラック派なんだろ?」
人差し指でこめかみを掻きながら、私を見下ろしている。
駒宮室長の手の中には私に差し入れしてくれたコーヒーと同じものがもう1つ。
「どうして、そのことを?」
不思議に思って尋ねた私を、駒宮室長はチラリと冷たい視線をやると、背を向けて自分のデスクに戻っていく。