夕日の中の思いを君に伝えたくて
授業をうけて家にいつも通り帰る。

「ただいま」

「…ああ、帰ってきたの」

これもいつも通り。お母さんもお父さんも誰も私のことを必要としてくれない。愛してくれない。元々お父さんは家族なんかに興味がなくて昔から仕事ばっかり。これで本当は大切に思ってたってなるならいいけどその望みさえないから笑える。
お母さんは私が小さい頃子役としてテレビに出た時、私はネットで悪口を書かれ始めた。
そんなのよくあること。でも私だけで収まったならともかくお母さんにまで被害を与えた。

・最近、姫柊紫苑っ子役調子乗りすぎじゃね?

・親もどういう教育したらああなるんだよ

・まじ親やめた方がいい。母親乙www

これらの心無い書き込みでお母さんは壊れた。

「あんたさえ!あんたさえいなければ家は壊れなかった…!!あの人だって、あの子だって!!」

うん、分かってる。お母さんの心の傷はどうやっても消えないんだよね。分かるよ。小さい頃から見てきたもん。たくさん傷つけられたんだよね。だから、そんな思いをさせちゃった私を傷つけていいよ。殴っていいから。だからごめんね

「そんな目で見ないで!!可哀想な人を見る目で見ないでよ!!」

お母さんは泣き叫びながら言う。
私を散々傷つけたあとお母さんは1人で泣きながら言うんだ。

「お願いだから…帰ってきてよ…もう私達の前から消えてよ…」

お母さんはこうなったら自暴自棄になって、自分を傷つける。それをしないためには私を視界に入れないこと。私は財布と携帯、赤のパーカーを羽織って家出た。

「お母さん、私ちゃんといなくなるから…もうすぐで…いなくなれるから…」

待っててね
< 3 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop