番犬男子
「じゃあ、もう切るね。お父さんに、あたしは元気だって伝えておいて」
『わかったわ。おばあちゃんによろしくね』
「うん、じゃあね」
あたしは別れの挨拶を告げて、電話を切った。
さてと。
連絡はしたし、空港を出て、留学中にお世話になるおばあちゃんの家に行こう。
おばあちゃんの家には、“彼”も住んでいる。
夏休み中だろうから、家に行けば“彼”に会えるはずだ。
あたしはスーツケース片手に、空港を出た。
8月も終わりに近いのに、太陽が燦々と光っている。
暑さを感じながら、おばあちゃんの家から街行きのバスに乗った。