番犬男子
双雷のテリトリー内に入った。
たまり場まであと少しだ。
ザア……!
ふと、肌寒い風が吹いて、あたしの栗色の髪をさらった。
髪を抑えて、なんとなく稜のほうを一瞥する。
稜の灰色の髪も、風にあおられ、なびいていた。
左に流されていた前髪が、ふわり揺られて。
その隙間から、覆われていた左目が、丸めがね越しに垣間見えた。
「え……」
思わず、一音だけ漏れる。
濃い褐色の右目とは、違う。
真っ赤に彩られた、左目。
「稜って、オッドアイだったの?」
風が止んで尋ねれば、稜は一瞬目を見開いて、あたしに視線を向けた。
「……ああ」
すぐに視線を逸らされ、別段動揺せず、けれど素早く左目を前髪で隠してしまった。