番犬男子





「あの人たちがどうにかするんじゃない?」



あの人たち、とはあたしと遊馬のことだろう。


最後の最後まで彼らは野次馬でいたいらしい。



丸投げかい。

まあ別にいいけど。


傍観してるだけならさっさとどっか行ってほしい。




「あっ、じゃあさ、あんたがなんとかしてきたら?」


「えええ、無理無理!」


「遊馬さんにお近づきになるいいチャンスじゃん」


「あのカラス血生臭いし、気持ち悪いし近づけないよ」




思わず、目を剝いた。



……は?

気持ち悪い?



どよめきが、波を立てて、大きくなっていく。




「死んだカラスに触るとかできねぇよな」


「あんな汚ぇのに触れるやつがいたら勇者だろ」


「あのキチガイ男にはさすがにドン引きだけどなー。あはは!」



汚い?



野次馬たちは、どうして冷笑してるの?



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