番犬男子
がっかりしてる自分がいた。
どうしてここに来たのは千果だけなんだ、って。
自己中心的な文句を抱く自分に、またがっかりした。
俺、最低だ。
『どうして、ここが……?』
『勘!』
スキー板を取って駆け寄ってきた千果は、堂々と胸を張って答える。
天才は頭脳だけじゃなく直感も冴えてるのか。
『どうして、ここに来たんだよ』
『お兄ちゃんが心配だったの』
え?
心配?
耳を、疑った。
『お兄ちゃんが無事でよかったあ』
屈託ない微笑みが眩しくて、視線を逸らした。