番犬男子
「遊馬さん、ポジティブですね」
「……お前ってとことん変だよな」
「そこがアスちゃんの、数少ないいいところよ」
「ちょっ、雪乃!?それフォローのつもりか!?」
失笑が、響く。
だんだんと雨が止んできて、灰色の雲の隙間から晴れ間が覗いていた。
――明日が、勝負。
正体が明らかになるのか、親密になるのか、敵対心をさらすのか、壁をなくすのか。
全て、明日次第。
この予感が褪せなければ、いい。
まだ、俺を、退屈させんなよ。
楽しませてくれ。
もっと、もっと。
不意に、両耳のピアスが、ゆらゆら踊った。
まるで、芽生えた期待を輝かしく彩るように。