「伊崎さん…?」

呟くように名前を呼んだひかるに、
「僕、やっぱりひかるさんのことをあきらめることなんてできないです」

伊崎は言った。

「ひかるさんじゃないと、ダメです」

「…どうしてなんですか?」

そう言った伊崎に、ひかるは聞き返した。

「別に私じゃなくてもいいと思います」

ひかるは言った。

「どうして、そんなにも私にこだわる必要があるんですか?

自分の周りにいないタイプだから、私が珍しいんですか?」

「ひかるさんそのものが好きだからです」

「どこがですか?」

そう聞き返したひかるの顔を伊崎は見つめた。

「私のどこが好きなのかって聞いているんです。

好きならば、ちゃんと答えることができるはずです」

伊崎はひかるの顔を見つめているだけだった。
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