だから、笑って。
そして忙しい夏休みはあっという間に過ぎていった。
凜くんとはメールで多少のやり取りはしているものの、顔は合わせていないし、胸のどこかで虚しさを感じていた。
「あれ?菜乃花ちゃん、なんか元気なくない?」
ほら、とうとうバイト先の先輩にも声をかけられてしまった。
「あ・・ちょっと課題で疲れちゃって..」
「んーん?違うな。彼氏だね、その顔は」
ぎくっ・・・。
大学生にもなったら人はこんなにも第六感が鋭くなるものなんだろうか。
無言でいると、先輩は「しめた」と言わんばかりの顔で近寄ってきた。
「まぁ、夏休みだもんね。お互い勉強や部活やもしくはバイトで忙しいもんねぇ」
先輩は仕事着のポケットから女の子らしい柄のハンカチを取り出し、ひらひらとさせた。
「ちょうど店長からも休憩してこいって仰せつかったし、トイレにでも行こっか」