だから、笑って。



「あ、私、洗面台のところで待ってます」




「あら、待たせて悪いわね」
















しばらく洗面台の鏡で身なりを整えていると、隣に先輩が来た。




「でもまぁ、休みの期間になると彼氏に会えなくなるのは大学でも同じだよ。しかも、大学だと夏休みの期間が長いからねぇ」




どうやら先輩も、ここ数週間彼氏に会っていないらしい。



「先輩は、辛くないんですか?」



「・・なんだろうね。大学生になるとね、恋人はね恋愛対象ってだけじゃなくて結婚相手としてでも見られるの。もちろん私もそういう目で見ていたりするよ」




「そうなんですか」




「そうなの。だから、大人の恋愛ってヤツが自然に身についちゃうわけ。だから、長い休みでもね、お互いが頑張っているって信じてるから耐えられないことはないの」



まあ、さすがに連絡手段が途絶えたら私だって元気なくなるけど。そう言って先輩は携帯を取り出した。




「高校生の私は、どうやって乗り越えたら良いと思いますか?」



「んー、私が菜乃花ちゃんみたいな頃はねー…やっぱり小さなイベントでも彼に会える日はとことんおしゃれして、小さなことでも全力で楽しんでた」




小さなことでも全力で楽しむ、か・・。




脳裏に浮かんだのは、8月の後半にある花火大会だった。
< 130 / 132 >

この作品をシェア

pagetop