友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

マンションの一階に、大型スーパーが入っている。
カートにカゴをセットして、二人は広い売り場を歩き出した。

「ビール。ビール。ビール」
のぞみは、さっきからビールコールしかしてない。

「他には?」
「じゃあ、さきいか」

琢磨は呆れた。

「なあ、それ、ただのつまみじゃん。祝ってねー」
「祝ってる気持ちがあれば、食べるものはなんでもいいの」

カートをたのしそうに押す。

「あ、カップ麺安い!」
のぞみが棚に手を伸ばす。

「えー? 大盛り? ラグビー部かなんか所属してんの?」
琢磨は笑った。

「女だって、ガツッと炭水化物食べたいの。これプラスおにぎりもオッケー」
「太るぞ」
「関係ないね。これはストック」
のぞみは、ポイポイとカゴにカップ麺を入れていく。

「お、このオリーブオイル、いいやつだ」
琢磨は棚から、輸入物のオイルをカゴに入れた。

「……なんに使うの、コレ。飲むの?」
のぞみが眉をひそめる。

「飲むかよ。料理に使うんだ」
琢磨は言った。

「たかが油に、高すぎるよ。サラダ油でいいじゃん」
のぞみは解せない様子。

「いいの、これは俺が使うから。価値がわからないお前は、使うなよ」

琢磨がいうと「わたしはサラダ油で十分です!」と横を向いた。

琢磨は考える。

こいつに食べさせてやったら、その味に驚くかな。
琢磨はオリーブオイルを使う料理のために、食材を次々とカゴに入れた。
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