友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

のぞみはキッチンに行き、インスタントのコーンスープを用意した。

のぞみは琢磨のように、一からちゃんと作れない。
これぐらいしかできないけれど、ないよりはマシだ。

しばらくすると、洗面所の引き戸が開く音がした。

リビングに来て、ソファに座る。

頭は濡れたまま、バスタオルを首にかけて、ぼんやりと一点を見つめている。

ミネラルウォーターとコーンスープ。
のぞみの思いつくのは、こんなものだけ。

「はい」

テーブルに出すと、琢磨は「ああ」といったまま、また黙った。

のぞみは床に座って琢磨の様子を見上げた。
頬の赤みは戻った。
でも空っぽのままだ。

「お腹すいた?」
「別に」

琢磨は首を振る。

「……ねえ、彼女と話せた?」
「話したよ」

やっとテーブルの上のものが目に入ったのか、ペットボトルを手にとってパキッと音をさせてキャップを開ける。それから一口、飲んだ。

「わたし」

のぞみは言いかける。

ねえ、わたし、出ていこうか? ここ。
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