永く青い季節 〜十年愛〜


「ごめんなさい、驚かせてしまって。ちょっとお話してもいい?」


彼女は彼と同じゼミで、他の仲間も含めてよく一緒にいるんだと話した。
私の存在も聞いていたけど、彼のことが好きだと、堂々と私の目を見て言った。


「離れてるから仕方ないけど、彼は貴方に優しいとこしか見せてないんじゃないかしら?」

「え?…それはどういう…」

ただでさえ頭が混乱しているので、言葉の意味を冷静に考えることすらできない私。

「彼にだって、いろいろな感情があるのよ。落ち込んだりしたら弱音だって吐きたい筈。
今回のことで、彼、貴女に何か愚痴を言ったりした?」

そう言われてみれば彼は、花火大会のプランがダメになった事を謝るだけで、怪我のことを聞いても、「大丈夫」と答えるだけだった。
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