元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

エカベトの軍艦で国王陛下と共にヴェルナー艦隊の旗艦に送ってもらった私たちは、割れんばかりの大きな拍手で迎えられた。

「元帥閣下万歳! 皇帝陛下万歳!」

兵士たちの帽子が甲板の上空を舞った。

これで、戦いが終わったんだ。敵国の人命に損害を与えることなく、無血開城を成功させたレオンハルト様に各艦からも称賛と祝いの信号が次々に届いた。

「なんだよ。俺が活躍する場所がなかったじゃないか」

ライナーさんがレオンハルト様の腕を叩く。けれどその顔は、晴れ晴れとしていた。

「お前さんの活躍はこれからだ」

叩き返して、レオンハルト様が笑った。

「アルバトゥスへ帰るぞ!」

彼が号令を出すと、誰もが嬉々とした表情で「おう!」と答えた。

「終わった……」

船がエカベトを離れていく。方向を転換した船首の先では、海が日を飲み込もうとしていた。

オレンジに染まる海を眺める私の後ろ、甲板の上ではお酒や食べ物が運ばれ、盛大な祝勝会の準備が進んでいる。

「副官殿、帰るまでの食料の計算は大丈夫か?」

他艦隊との連絡のために席を外していたレオンハルト様が戻ってきて私に声をかける。


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